ラベンダーと星空の約束
 


その方が自然だと思ったから。


流星が柏寮に居ないのに、
私一人お正月を柏寮で過ごす理由が思い付かない。



そうしてお互いに嘘を付き合い、数日が過ぎ…

流星の面会謝絶の札が取れたと、彼の父親から瑞希君に連絡が入った。




良かった……

流星が入院してから10日経ち、やっと会いに行ける。




この数日間は本当に長く感じて、淋しく辛かった……



会いに行ってもいいと言われ、やっと心の荷を下ろせた気がする。




 ◇


翌日、瑞希君と一緒に午後の面会時間に流星の病院に出掛ける。



その日は朝からソワソワして落ち着か無かった。



流星に会うのは11日振り。

その間、時々メールが来るだけで声も聞けないし、

連日夢に流星が出て来るくらいに、彼を欲していた。



やっと会える喜びで胸がドキドキする……



先に出掛ける準備を終えた瑞希君が

「用意出来たー?」と私の部屋に入って来た。



私も後はコートを羽織れば準備はOKなんだけど、

まだ鏡から目を離せず、あちこち点検中。




「瑞希君、この服でいいかな?

髪の毛はねてない?変な所ない?」




「デートに行くんじゃないのに、何でお洒落してるの?」




「だって…久しぶりだから…」




「ふーん、久しぶりに会える彼氏に、ドキドキウキウキしちゃってるんだ。

紫ちゃんて、意外と乙女な所あるよねー。

意外…う〜ん…意外って言うのはちょっと違うか…

見た目的には乙女なんだけど、普段の性格を考えると、ドキドキウキウキしている姿は意外って感じかな?

いつもそんな風にしてたら可愛いのに」




「それって…けなしてるんだよね?酷い」




「ハハッ 愛があっていいんじゃない?
大ちゃんの為にお洒落するなんてさ。

でもね、大ちゃんの今の心境を考えた上で服装のアドバイスをするなら、

コートの中は素っ裸がいいと思うよ?

それが1番喜ぶと思う。

即退院出来る位に、元気になるかもね、アハハッ!」




「病院で何をすれって言うのよ……」







バスに30分揺られ、流星の入院している病院前で下車した。



そこは都心の大病院で、内科の病棟だけでも第一から第三と三つもある。



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