ラベンダーと星空の約束
「あんた達…それを今から私に作れと?」
「そう言うことだな。
デザートはオレンジゼリー」
「ハンバーグにエビフライにスパゲティーにゼリー……
お子様ランチみたい」
リクエストだけして、手伝いも宿題の続きも全くやる気のない2人は、
暇だからと対戦ゲームを始めた。
冷凍庫を漁り、挽き肉と車海老を引っ張り出しながら考える。
「青空はもうすぐ高校受験を控えているのに、こんなんでいいの?」
と……
大樹と同じ地元の高校を受験するから、躍起になって勉強しなくても入れると思うけど…
この時期必死に勉強していた2年前の自分と弟を比較し、溜息が出る。
私…青空の教育の仕方、どこかで間違えた?
いや、勉強嫌いは大樹の影響だよね…
大樹とつるんでるから、ゲームバカになるんだよ…全く……
ブツブツ文句を言っても、
「とうっ!」
「喰らえ俺の必殺技!青獅子飛連脚〜!」
などと言ってる2人の耳には入らない。
せめてもの抵抗として、お子様ランチ風に仕上げた2つのプレートのハンバーグにある物を乗せた。
それは…嫌味をたっぷり込めた旗。
逆立ちしたカバの絵を描いた手作りの旗を、ほかほかハンバーグに立ててやった。
◇
三箇日(サンガニチ)は過ぎてしまったけど、
正月の恒例行事、
うちと大樹の家の2家族で行う、かるたトランプ大会も私の帰省に合わせて開いてくれた。
毎年の事なので、これをやらないと新年を迎えた気がしない。
大人達も形(ナリ)振り構わず真剣勝負なので面白い。
子供が勝つとお年玉袋に入れられた小銭を貰えるから、私も青空も大樹も必死。
そしてこのお年玉袋のほとんどは、私が独占する事になる。
青空は時々勝つけど、大樹は弱い。
大富豪も7並べもポーカーも神経衰弱も、大樹は私に勝てない。
バカだからね。
大樹に圧勝し、悔しがる顔を見るのは気持ちいい。
その顔を見ながらお腹を抱えて笑い転げていると、ギリッと奥歯を噛み締めた大樹に睨まれる。
「てめぇ…笑ってられんのも今の内だぞ。
次はダウトで勝負だ!」
「げ……」
ダウト(関西圏では座布団と呼ばれているそうです)は少し…いやかなり苦手。
2家族7人の中で多分私が最弱。