ラベンダーと星空の約束
 


これからは普通の2人分でいいんだ…

流星と2人分だと、実質4人分作る事になるから、

一人前の分量の感覚がズレていたのかも知れない。



流星は今頃、どこで何を食べているのだろう……

病み上がりだから、本当は栄養のある物を食べて、ゆっくり体を休めないといけないのに……




「ご馳走さま。ごめんね、やっぱり残しちゃった」




「うん、いいよ」




「ねぇ…紫ちゃん……
本当に大丈夫なの?」




「大丈夫…だと思う」





瑞希君が心底心配そうな目で見てくるから、笑顔を作って見せた。



それを見て、彼は表情の固さを緩めるどころか、

眉根を寄せ、益々険しく深刻な顔付きになる。




物問いたげな視線…

だけど何かを言おうとして、言葉を飲み込み溜息を付いた。




「食器は僕が洗うから置いといて。
先にシャワー入らせて貰うね」




食が進まなかった瑞希君だけど、作り手の私に気を使ったのか、

無理して何とか一人前を胃袋に押し込め、席を立った。



私は…瑞希君がリビングを出て行った後、すぐに箸を置き、深い溜息を吐き出した。



今日は2人で一人分の量で十分だったかも。



食べれそうな気がしなかったのに、4人分も茹でた私って…馬鹿……





 ◇



寝支度を済ませ、瑞希君の隣の部屋に入る。



今日からここが私の部屋。



広さは柏寮と余り変わらない…6畳半くらいかな。



でもクローゼットが付いているから、物をスッキリ収納出来て広く感じる。



クローゼットを開けると私が柏寮で使っていた物達が、自分で片付けるよりも上手に収納されている。



新しい机にベットにドレッサー。

色は白に統一されている。



カーテンとベットカバーがお揃いの淡い紫色。

ラグはそれより少し濃い紫色。



白と紫色で彩られた部屋。

雪とラベンダー?

いや…白樺並木とラベンダーかな……




この部屋の配色は、私らしいと言うより、流星らしいと感じる。




< 648 / 825 >

この作品をシェア

pagetop