ラベンダーと星空の約束
これからは普通の2人分でいいんだ…
流星と2人分だと、実質4人分作る事になるから、
一人前の分量の感覚がズレていたのかも知れない。
流星は今頃、どこで何を食べているのだろう……
病み上がりだから、本当は栄養のある物を食べて、ゆっくり体を休めないといけないのに……
「ご馳走さま。ごめんね、やっぱり残しちゃった」
「うん、いいよ」
「ねぇ…紫ちゃん……
本当に大丈夫なの?」
「大丈夫…だと思う」
瑞希君が心底心配そうな目で見てくるから、笑顔を作って見せた。
それを見て、彼は表情の固さを緩めるどころか、
眉根を寄せ、益々険しく深刻な顔付きになる。
物問いたげな視線…
だけど何かを言おうとして、言葉を飲み込み溜息を付いた。
「食器は僕が洗うから置いといて。
先にシャワー入らせて貰うね」
食が進まなかった瑞希君だけど、作り手の私に気を使ったのか、
無理して何とか一人前を胃袋に押し込め、席を立った。
私は…瑞希君がリビングを出て行った後、すぐに箸を置き、深い溜息を吐き出した。
今日は2人で一人分の量で十分だったかも。
食べれそうな気がしなかったのに、4人分も茹でた私って…馬鹿……
◇
寝支度を済ませ、瑞希君の隣の部屋に入る。
今日からここが私の部屋。
広さは柏寮と余り変わらない…6畳半くらいかな。
でもクローゼットが付いているから、物をスッキリ収納出来て広く感じる。
クローゼットを開けると私が柏寮で使っていた物達が、自分で片付けるよりも上手に収納されている。
新しい机にベットにドレッサー。
色は白に統一されている。
カーテンとベットカバーがお揃いの淡い紫色。
ラグはそれより少し濃い紫色。
白と紫色で彩られた部屋。
雪とラベンダー?
いや…白樺並木とラベンダーかな……
この部屋の配色は、私らしいと言うより、流星らしいと感じる。