ラベンダーと星空の約束
打ち明け、怖がる紫を支えて生きる道じゃなく…
何も言わずに、逃げる道を選びやがった。
クソ野郎が……
逃げてんじゃねーよ。
アイツは俺を何度となくコケにしやがったけどな、
てめぇの方が、よっぽどヘタレで弱虫じゃねーか。
紫が今、どんだけ傷付いてんのか分かってるか?
何も言われないで、突然消えられるってーのはな、
『早死にする』って言われる事と同じくらい…
いや、それ以上にキツイと思うぞ?
そんな事俺でも分かるのに、何でてめぇが分かんねーんだ、アホか!
打ち明けるのが恐いからって、紫をほっぽり出して逃げやがって……
許さねぇ。
すぐにそのアドレスに
『バカ野郎が。早く帰って来い!』
と返信したが、届かなかった。
一方的にメールを送り、アドレスを変えやがった……
マジでムカツク野郎だ。
◇
そんな訳で、その後取れた一番早い便の15時過ぎの飛行機に乗り、今空の上だ。
まだ着かねーのかとイライラする俺の目に映るのは青い空。
ぶ厚い雲の上は青空が広がり、バカみたいに晴れている。
雲の下が大雨だろーが大雪だろーが、雲の上っていうのはいつも晴れてんだな。
飛行機に乗り慣れてねーから、この景色は変な気がする。
灰色の雲がうっすら夕日色になってきた時、やっと飛行機が高度を下げ始め、雲の下へと向かって行った。
機体がグラグラ揺れ、隣の席に座るオバサンがビビってるけど、
もっと揺れても構わねぇから、早くしろって言いたくなった。
早く紫の側に行きたかった。
壊れてるって…紫…大丈夫かよ……
いや大丈夫じゃねーから、オカマが1000km離れた俺を呼び付けたのか……
流星が信じた様に、俺も紫は強いと思ってる。
“か弱い女子高生”なんて言葉は、アイツに似合わねぇ。
アイツにはそうだな…
“肝っ玉母ちゃん”がぴったりだな。
昔から何に対しても可愛げねーくらいに強い。
けど、流星に関わることだけ別だった。
流星の事になると、紫は急に女々しくなりやがる。
くそっ 流星の野郎…紫を泣かせやがって…
あ゙?違った。
泣けないから、おかしくなってんのか。
とにかくあのバカ野郎は許さねぇ……
捜し出し、ぶっ飛ばして、連れ戻してやる。