ラベンダーと星空の約束
 


柏寮であなたと過ごした温かな日々を想い出し、

どんなに手を伸ばしても、その日々を取り戻せないとまた涙が溢れる。



巡り逢えたのに…


想いを通わす事ができたのに…


一緒の未来を夢見ていたのに……


それなのに…あなたは私の下を去ってしまった。



柏寮も紫水晶の指輪も愛しい人も、愛の全てを失た私は、この先あなたを待っていられるだろうか。



また逢えると信じて、待つ事が出来るだろうか。



分からない…自信がない…



また待ち続ける日々が……
怖い……




「ふっ…うぅ…流星……」




流星を求める心と悲しみと恐怖に襲われる心。

それらの心から涙が染み出し、私も大樹も濡らしている。



大樹のトレーナーは絞れる程に濡れ、冷たく肌に張り付いていた。



呻く様に泣き続ける私を、大樹は黙って抱え続けてくれる。



どれくらいそうして泣いていただろうか。

今は真夜中、電気の点いた室内で夜の暗さは分からないけど、

泣き始めて2時間か3間か…多分日付は変わっている。



大樹の胸から顔を離し、心配そうに見つめる一重の瞳と向かい合う。



泣き疲れて勢いは衰えても、まだ涙は止まらない。



大樹に向ける瞳からは次から次へと新しい雫が溢れ出し、瞬きの度にぽろぽろとこぼれ落ちて行く。




「大…樹…… 私…自信ない……

流星を待っている自信がない……

怖いよ……また待つだけの日々が始まるなんて……」




「……… それなら、諦めるか?流星を諦めるか?

諦めたら、マジで二度と会えねーぞ。

あいつを諦めるなんて、お前に出来んのか?」




「…で…出来ない……」




「なら待ってろ。

あいつは戻ると信じて待ってろ。

お前ずっと前に俺に言ったろ。
ラベンダーの花言葉…何たっけ?」





ラベンダーの花言葉。



そうだ…小学校を卒業した年の夏、

大樹に
「いい加減に帰らねーあいつを待つのは止めろ、バカみてーだぞ」

と言われ、私はこう反論したんだ。





「私の名前は“紫”

ラベンダーから付けられた名前なんだよ。

大樹、ラベンダーの花言葉知ってる?」




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