ラベンダーと星空の約束
「花言葉?だっせぇ、知るわけねーだろ」
「ださくないよバカだね。
ラベンダーの花言葉はね…
『あなたをずっと待っています』
待ってるんだ。
私は流星をずっと待ってるんだ」
ラベンダー畑を瞳に写し、あの時の私はそう言った。
私の名前はラベンダーの色から付けられた。
だから、ラベンダーの花言葉は私の為にある言葉だと感じていた。
『あなたをずっと待っています』
その言葉を、昔の私は体現して見せた。
流星を信じ再会する日までずっと……
昔の自分に想いを馳せ、やっと涙は止まった。
大樹はトレーナーの袖で私の顔をゴシゴシ擦って、涙の名残を消してくれた。
大樹がニッと笑うから、私も笑い返す。
今度の笑顔は、まやかしの笑顔じゃない。
流星の命の期限を知り、
突然居なくなった理由を知り、
それらを受け止め、目一杯涙した後に作るこの笑顔は、決意の表れ。
「ラベンダーの花言葉は
『あなたをずっと待っています』
私はどうやら流星を待ち続ける宿命を背負っているみたい。
待ってるよ…流星は必ず戻って来る。
私の居ない生活に、堪えられる訳ないじゃない。
流星は帰る。必ず」
「よし、それでこそ紫だ」
大樹は嬉しそうな顔して、私の髪をグシャグシャ撫でる。
「わっ止めてよ!
髪の毛絡まるじゃない!」
止めてと言っても止めるどころか、益々激しく髪を掻き回すので、
それに対抗し、私も大樹の頭を左手でゴシゴシ撫でる。
相変わらずの七分刈の頭は、短い髪の毛が手の平にショリショリとした感触を与え、少しくすぐったくて気持ちいい。