ラベンダーと星空の約束
 


掛けてきたのは、瑞希君みたい。



大樹と瑞希君は結構仲良く電話し合ったり、メールし合ったり…

いや違った。



瑞希君が暇な時や愚痴を誰かに聞いて貰いたい時、大樹に電話を掛け、大樹が面倒臭がっているんだ。



開口一番「用もねーのに…」と話し始める所を見れば、

いかに日常的に、どうでもいい内容の電話を貰っているのが分かるよね。




「−−−あ゙? だったら紫に掛ければいいじゃねーか。
何で一々俺を通して…


−−−ああ、そう言うことか。
隣にいるから代わるぞ…


−−−うるせーって、隣ってそう言う意味じゃねーよ、アホか。


−−−−てめぇ、覚えてろよ。
次会ったらその女みてーな面に、マジックで髭描いてやるからな」





何やら大樹はからかわれているみたいだけど、元は私に用があって掛けてきたみたい。



いつもの「うるせー」「黙れ」「マジむかつく」と言うやり取りが少し続いてから、大樹にスマホを渡された。




「お前のスマホ、またマナーモードになってんだろ。

お前に掛けても出てくれねーって、オカマが嘆いてんぞ」




「あ…また解除するの忘れてた。
しかも今、部屋に置きっぱなしだ」





お店に出ている間、当然マナーモードにしなくてはならないから、ほぼ一日中その状態で、私は良く解除を忘れる。



そして瑞希君に

「電話が繋がらないんだけどー」

と大樹経由で文句を言われた事も、一度や二度ではない。




「ごめん」と言いながら電話に出ると、予想通り文句のお言葉を沢山頂いた。




「うん、気をつけるよ。本当ごめん。
で、何?用事あったんでしょ?」




「そうそう、ツッコミまくっていたら忘れる所だった。

オホンッ…
HAPPY BIRTHDAY〜TO YOU〜♪

紫ちゃんおめでとー!ビバ20歳!ヒューヒュー!!」




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