ラベンダーと星空の約束
弱い光りを一生懸命に集め、金の台座の上で紫色の石が輝いている。
もっと光りに当てたくて、流星から離れ、ラベンダーの間近まで進む。
やっと手元に戻ってきた紫水晶の指輪に夢中になった。
嬉しくて手の角度を変えながら、4年振りの輝きを楽しんでいた。
すると音も無く近付いて来た流星に、急に後ろから抱きしめられた。
光りにかざしていた左手は宙で捕らえられ、指輪を隠す様に握られた。
「流星…?」
「俺…今、嫉妬を感じてるんだけど…」
「嫉妬って、誰に?」
「その指輪に。
俺を見た時より、君が嬉しそうだから。
その指輪さえ手元に戻ってくれば良かったの?」
「そんなわけ…」
言いかけて止めたのは、本気でそう言ったんじゃないと、すぐに分かったから。
首を捻り、肩越しに後ろの流星に視線を合わせると、彼は嬉しそうに笑っていた。
宙で捕まえられた左手は引き戻され、私の肩先で彼の唇に触れる。
それによって紫水晶の輝きが増した様に見えるのは、気のせいだろうか……
流星は指輪にキスして私の左手を離すと、その綺麗な指先が、今度は私の下唇をなぞって行った。
私を強く抱いていた、彼の右腕の力が抜けていく。
それを合図に流星の方へ向き直り、胸の高鳴りを感じながら視線を合わせた。
色素の薄い綺麗な茶色の瞳に映るのは、
青く波打つラベンダーと星空を背景に立つ私。
ああ…これが見たかった……
想い出の風景の中で、あなたの瞳に私を映して欲しかった。
ゆっくりと近付く綺麗な瞳…
視界が彼の瞳の色で埋まって行く…
微かに触れた唇が、愛の言葉を形作る。
「…紫…愛してる……
星空よりも不変に…ラベンダーよりも色鮮やかに…君を愛し続ける……
…この命が尽きても…ずっと…永遠に……」