ラベンダーと星空の約束
流星のことを全て話した。
初めて会った入寮初日と、二度目の今日のこと。
あの夏と別人の様な変貌振りに、大樹も驚いていた。
大樹が覚えている昔の流星も、星空と読書が好きな、知的で静かな少年だった。
私と同じ様に、その雰囲気を残したまま成長していると思たようで、
あんなチャラチャラした男になっていた事に、衝撃を受けていた。
大樹が珍しく優しい声で言う。
『紫…帰って来れば?
もうそっちにいる意味ないんだろ?
だったら、転校でもすればいいじゃねぇか』
「帰れないよ…今更そんなの格好悪いもん。
それに……」
『それに何だよ?』
「流星が何であんなに変わっちゃったのか…
何で私の事を覚えてないのか…
それが気になるから知りたいの。
もっと流星のことが知りたい」
『…… やっぱり…流星かよ……』
「 ん?何?」
『いや…何でもねぇ。分かった。
そんじゃ俺、これから風呂入っから切るな?戸締まり気をつけろよ』
通話を切り、スマホをベットに投げ置いた。
大樹に話したお陰で、頭の中が整理出来た。
心が落ち着いてスッキリしている。
そうだよ…
私は流星のことをもっと知らなくてはいけない。
フラノを去ってから5年間の流星を知りたい。
何を考え、どうやって生きてきたのかを知りたい。
軽薄な男になってしまい苦手意識は消えないけど、
疑問を残したままフラノに帰りたくない。
メソメソ落ち込むなんて私らしくなかった。
目的を持って前に歩むのが私の生き方。
幼なじみの声を聞き、本来の強い自分を取り戻した。
衝撃からこんなに早く前を向けたのは、大樹のお陰。
アホな弟分から、親友に格上げしてあげようかな…