ラベンダーと星空の約束
触れ合う唇から直接伝えられた愛の言葉は…どうしようもなく、私の胸を震わせた。
触れては離れ、離れては触れる唇。
優しいキスの合間に、茶色の瞳が揺らめいて見えるのは、また流星の瞳が潤んで…
いや、違った。
今度涙を溜めているのは、私の方だ。
瞬きと同時に流れ落ちた雫は、頬を伝い、彼の白シャツの衿元にうっすらとしたシミを作って行く。
私の涙に気付いても、流星はもう怖れなかった。
笑みを湛える彼の唇は、頬を流れる涙を掬(スク)い、瞼にキスして、再び私の唇の上に戻って来る。
「愛してる…」
何度もそう囁いて…
やがて唇を割って入り込む熱い舌先。
想いの全てを込めた様に情熱的で…それでいて丁寧で、ゆったりとして…彼らしい優しいキス。
逢いたくて、逢えなくて、淋しかった長い月日が、
遠い過去の出来事の様に霞んで行った。
流星を失いぽっかりと穴を空けていた心が、今この瞬間に何もかも満たされ、
穴なんて初めから無かったみたいに、すっかり修復されていた。
流星の左手は、私の腰をしっかりと抱いてくれる。
右手は頬を撫で、黒髪を梳(ス)き、背中に緩やかな曲線を描く。
涙が止まらない程の幸福感に包まれ、甘く深いキスに酔いしれた。
夢中になり彼の首に自然と腕が回る。
不安も迷いもない、強い力でしっかりと抱きしめてくれるのが嬉しくて…
逢えない月日に忘れそうだった流星の味が、再び口に広がり、脳裏に刻まれて行くのが嬉しくて…
久しぶりのキスを止められそうに無い。