ラベンダーと星空の約束
だからこれでいい。
全てを曝(サラ)け出して受け入れて貰おう。
私も、流星の強さも弱さも…彼の全てを受け入れたい。
自宅の真っ暗な玄関が、星明かりの下にぼんやりと輪郭を現した。
玄関ドアを開ける前に立ち止まる。
繋いでいる右手で、流星の左手を強く握り締めると、
4年前と比べものにならない麻痺手の握力の回復に、彼は驚いていた。
「凄いね…
俺が止まっている間も、君は前に進んでいたんだね…
4年分の君の成長を見逃した…
月日が勿体なかったな…」
そうだよ、勿体ないと私も思う。
だから…これからはずっと傍に居よう。
懐かしい柏寮時代には、
「初々しさを無くしたくないから、離れている時間も大切」
なんて言っていた私だけど、
今は片時も離れたくない。
避けられない、別れの日が来るまでは…
こうして手を繋ぎ、一緒に笑って生きて行く。
ラベンダーと星空の美しい想い出の大地に…
二人の今を刻んで行く。
【完】