ラベンダーと星空の約束
投げキッスをする流星を、瑞希君がズルズルと引きずり階段下へと消えて行った。
瑞希君が来て、流星に聞きかけた言葉を飲み込んだ。
でも、これで良かったのかも知れない。
さっきの私は単刀直入に聞こうとしていた。
5年前、ラベンダー畑で交わした約束を覚えているかと……
それを聞いてしまったら後悔する所だった。
その質問で私のことを思い出すかも知れないけど、
「マジで会いに来てくれたの?うっれしー!
忘れててごめーん!」
そんな風に軽さ全開で、適当にあしらわれるのは嫌だ。
チャラい流星はやっぱり苦手…
私からは絶対に言わないでおこう。
思い出すなら、自力で思い出して欲しい。
そして出来るなら、
軽薄さを捨て、あの夏の様に真っすぐな眼差しを取り戻して欲しい……
それは…無理そうな気もするけど……
とにかく流星を知ることから始めよう。
約束を覚えているかどうかは後回しだ。
誰もいない2階の廊下で、一人新たな決意をしていた。
流星を見つけ出そうと意気込んでいた昨日までとは、ガラッと決意の変わった一日だった。