デビル双子にいじられてます。
「勝手に看板娘連れてかれると困るんですけどねえ……」
「はぁ?客は神様だろ?何でも言うこときくんだろ?」
男のその発言によって“彼”の表情が、目が、変わった。
「はぁ?って言いたいのはこっちですよ?神様ぁ?たかが文化祭にそんなこといってるんですか?」
「……たかが文化祭でも客の言うことには聞くべきだ」
「……オマエさぁ、アホ?その子嫌がってんだけど。『たかが文化祭でも』警察は動くんだけど。誘拐したってことで通報していいなら外行けよ」
「っ、」
「学校の中でも何かしたら俺が許さねえけど、それでもその子連れてくわけ?」
「~~~~っもういいよ!こんな女!!」
「うわっ、」
出ないと思ってた声が突然の衝撃で出てくる。あ、あたし突き飛ばされたんだ。
「……」
“彼”は男がばたばたと去っていった方をじい、と見て、それからあたしに向き直った。
「……散々だったね。大丈夫?愛梨」
「うん……ありがと、う、皐月くん」
「いーえ」
あたしを助けてくれた彼――――皐月くんを見てお礼を言うと、彼はにっこり笑ってあたしを見た。