デビル双子にいじられてます。
* * *
「…おぉう」
あたしはシンデレラの衣装、ずたっぼろの衣装を着てサイズピッタリだ、と感嘆の声を上げた。
そうだそうだ、シンデレラって最初はこんなみすぼらしい服だったけど、結果的に王子様と幸せになるんだよねー、いーなー。
物語を思い出しながら、うんうん、うなずいていると。
「おっ、プリンセス!」
「へ、……あ、荒居くん」
後ろから声がして、振り返ると今日の王子役荒居君が後ろにいた。
余談だけど王子役はくじで決まったらしい。どんだけ適当だよ。
「やっぱり映える人はどんな服を着てても映えるね、僕そういう人種じゃないからなぁ」
そう言って髪の毛をわざとらしくかきあげる姿は「『そういう人種』です」と仕草で言ってるようなものだ。
つまりは、ナルシスト。
……かもしれない。あんまり喋らないけど荒居君はいつもポーズを決めてたイメージがある。
あたしの勘違いかもしれないけど。
「……て言っても、僕、いろんな人から「かっこいい~!」ってお世辞でも言われちゃうんだよね、よく。だから自惚れそうなんだけど」
あ、勘違いじゃねえやコレ。
大丈夫だろうか、劇。