デビル双子にいじられてます。






『……はい』





若干の疑問を持ちながらも心底嬉しそうにあたしは言う。ちゃんとセリフは表現できてるだろうか。






…と、いつのまにやらぱっと照明が消え、あたしと荒居君にスポットライトが当てられる。周りの継母たちもいなくなった。






あれ、何だっけこのシーン。








…………あ。






キスシーン、か。







あたしがそう理解したとたん、荒居君の顔が近づく。





大丈夫、これはフリ。うん。






うん。









うん…。






う、ん!?







顔が近い気がする。






「…これで多分、観客からはキスしてるように見えるよね」





「う、うん!」






荒居君がぴたりと止まる。よかった。ちょっと近い気がするけど。




もう吐息がかかるくらい顔が近づいていた。




あたしたちを見て観客から黄色い声が上がる。






と、同時に。







「………でもさぁ、それじゃぁあんまりにも、おもしろくないよね?」






「―――――――――――え?」










ぐ、っとあたしの肩を持つ荒居君の手に力が入った。







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