デビル双子にいじられてます。
「この王子は偽物…っつうか、俺が今勝手に決めた。こいつ、偽物。俺がほんとの王子」
「は?」
え、何言ってるんだろうこの人。
完全アドリブとなった舞台を、荒居君が何とか本来の劇に引き戻そうとする。
『ひ、姫!僕が本当の王子です!』
「あ?俺だろ。だってこいつと付き合ってんの俺だし。っつうか俺のが絶対こいつのこと好きだし」
え、何だろう今録音したい言葉が聞こえてきた気がする。ああ、手元にスマホがあれば。
と思っていても劇は続く。
『お、…俺だって姫のことが好きだ!』
おうおう、荒居君一人称が俺になってまーす。
ツッコもうとしたけど、楓弥にぐいっと腕を引っ張られて不可能になった。だってびっくりしたし。
「……やっぱ無理なんだけど」
「え?何が?」
「劇でもフリでもオマエが他の奴と結婚してキスするとか、俺全然耐えらんねえ」