デビル双子にいじられてます。
「……!?な、んぅう!?」
ちゅっと軽くリップ音を鳴らせてあたしにキスをした楓弥は、すぐにふっと離れて満足げに笑みを零した。
「……発情期」
「俺発情期ですけど何か」
「……くっそ」
認められたら何も言えないじゃないか。
少し顔が熱い。楓弥のせいだ。
「ま、でもこれでオマエを狙いやがる奴らは減っただろ」
「?何、なんの話?」
「何でもねえよ、鈍感」
鈍感じゃないし。
そう反論しようとしたら、通りかかった女子達が笑いながら楽しそうに喋っていた。
「ねえねえ、今日の夜何があるか知ってる?」
「あ、知ってる知ってる!『ラストキス』でしょ!?」
「そうそう、文化祭最後にカップルでキスすると、二人は永遠に別れないっていう!超素敵!」
「あたしらもいつかそーいう男子に巡り会いたいよね!」
「あー、ね!あ、ほら、例えば楓弥くんと桃真くんみたいなさ!」
「いーなぁ!でもでも楓弥くんは彼女いなかったっけ?」
「え?知らないよ?いないんじゃないの?」
「そーなんだ!じゃ、アピってみよっかな!」
あたしたちに気づかず、きゃははと笑いながらその子達は通り過ぎていった。
「………」