デビル双子にいじられてます。
「…っ、ふう、や?」
なんだか身の危険をとても感じてまた距離を置けば、楓弥が一歩あたしに近づく。
近づく、離れる、近づく、離れる、近づく、離れる。
そんな動作が何度か続いて、気づけばあたしは、壁に追い込まれていた。
高校生活初日にあった出来事があたしの頭の中でフラッシュバックする。
あの日もここ――――――校舎裏でこんなふうな状況になった気がする。あの時は桃真もいたけど。
懐かしいなぁ、とほわんほわんしていたとき、とん、と両肩の横に楓弥の腕が見えた。
「……腕長っ」
「……オマエなぁ。それ今言うことじゃねえだろーが空気読め」
「残念あたしはKYだ」
「とても残念だ」
ふふん。
少し誇らしげにふんぞり返ると、楓弥は「……なんか違う」とため息混じりに漏らした。そのあとチッと小さく舌打ちをして、急に真面目な顔になる。
そして、
「キス、しよ」
ここに来ていた目的を口にした。