愛を知ったとき

「…ところで、こんなところでどうしたんですか?頭良いのに、勉強サボっちゃったから説教うけにきたんですか?」

先輩は少し内緒話をするように顔を近づけて、

「まぁ、説教うけにきたのもあるけどよ。
あいつ、を見にきてた。」

…あいつ?先輩の指差す方を見ると…

「…谷本先輩ですか?」

俺の姉を…?
亮先輩は俺の姉が谷本成美と言う事を知らない。てか、亮先輩は俺の兄弟は兄貴しかいないと思い込んでいる。
だから俺は、姉の事を『谷本先輩』と呼ぶ。

「谷本の事を知ってんのか?」

なんか、亮先輩が笑顔だ。

「はい。同級生が谷本成美先輩は美人って言ってたし、俺と苗字が同じだから知ってます。」

「そっか…」

急に落ち込んだ表情になる亮先輩。
クールキャラになっちゃったのかと思ってたけど、表情がコロコロ変わるのは今も昔も変わってない。
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