あの日僕は死んだ。



僕はアスファルトの道をただひたすら駆け、横を慌ただしく過ぎる車の列とまるで終わらない徒競走をしている気分になる

いや、障害物競争か

僕はたまに突き出したりへこんだりしている地面を、避けるようにして走る

たまに信号が相手を引き止め、僕はそのうちにしめたとばかりに全力疾走をした


いくつ目の電信柱が目の端を過ぎたころだったろうか


いつもの見慣れた障害物とは違うものが現れ、僕はその場に足止めされた






猫である


しかし、猫といっていいものか

かろうじて耳としっぽで分かるが、胴体の部分はくっきりとタイヤのあとが刻まれており、無惨な姿である




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