【完】小さなしあわせ、重ねよう。
「ふふっ。私はいっつも田邊くんに甘えてるよ?」
ほらさっき泣いたのだって甘えれるからだよ、って言うけれど、俺の考えている"甘える"とはなんか違う。
「そうじゃなくてさ、こう…」
「なぁに?」
「もっとワガママになっていいじゃない?」
言ってから、あぁこれだ、と思った。
甘えるって言うよりワガママの方がしっくりくる。
「ワガママかぁ…それじゃあ、利己主義じゃない?」
「いいんだよ」
俺といるときくらいワガママで甘えん坊でいいんだよ。
伝わるわけなんかないけれど、じーっと畑辺の目を見つめた。
「ちょっ、ちょっとお風呂に入ってくるね!」
焦ったように目を逸らしてリビングから出ていった。
…顔、真っ赤だった。
かわいい。