【完】小さなしあわせ、重ねよう。
ゲートを潜り抜けて、空港を出た。
入り口を出てすぐのところでタクシーをつかまえて乗り込み、家の住所を言った。
タクシーが発進し、車窓から見える風景が流れていく。
あと数時間で年が明けるというのに、開店している居酒屋に入っていく中高年男性。
手を繋ぎながら幸せそうに歩くカップル。
友人とギャーギャー騒いでいる男子高校生。
たった数ヶ月居なかっただけだというのに、変わらない日本の情景がひどく懐かしく感じた。