【完】小さなしあわせ、重ねよう。


いや、もうにやけてたりして・・・!


「ふふっ、よかったー!」


・・・嬉しそうにニッコリ笑ってる。

やっぱ、



「・・・かわいい」


顔に似合わず口にしたからだ、


「え、急にどうしたのっ?!」


半歩引かれて、顔を真っ赤にされた。


でもそんな反応もすべて、可愛く思えてしまうのだから相当重症だな。

極度の”畑辺病”だ。
絶対そうだ。

初めてなんだよな。
誰かをこんなにも愛しく思うようになったことなんて。


「ねぇ、…行かないの?お参り」


話していた俺らは、いつの間にか鳥居の前で立ち止まっていた。


「・・・いや、行くよ」


危ない危ない。
声をかけてくれなければ、もう少しで自分の世界に行くところだった。


…なんていうのは症状なんだろうけど。


そっと手をとり、指を絡め、足を進めて鳥居をくぐった。


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