【完】小さなしあわせ、重ねよう。
「笑美おかえりなさい!」
「ただいま!ほら、田邊くん」
屋敷の大きな扉の向こうには畑辺より少し小さめな40代後半くらいの女性がいた。
「あらまっ、イケメンッ!!笑美、あんたやるわねぇ?」
「顔が好きなんじゃないもん!性格だもんっ」
「まっ、そうでしょうね~!あんたは昔から顔より性格だものねぇ」
「もちろん!」
…あのー、俺って空気じゃね?
「えーっと、すみません。話しているところ悪いんですが、自己紹介させてもらってもよろしいでしょうか?」
「あ、えぇ、どうぞ。ごめんなさいねぇ」
あぁ、緊張するっ!
「田邊 慶起です。年は21の大学4年。職業はプロのバスケットボールプレイヤーです。1年半くらい前から...え、笑美さんとお付き合いさせてもらっています。ご挨拶が遅れてしまい申し訳ありません。」
言い終わって頭を下げると、上から優しい声がかかる。
「えぇ、お話は笑美から聞いているわ。立ち話はなんだし、上がってちょうだいっ?」
靴を広すぎる玄関の隅に並べてお家に上がると、リビングに通された。