【完】小さなしあわせ、重ねよう。


「笑美おかえりなさい!」

「ただいま!ほら、田邊くん」


屋敷の大きな扉の向こうには畑辺より少し小さめな40代後半くらいの女性がいた。


「あらまっ、イケメンッ!!笑美、あんたやるわねぇ?」

「顔が好きなんじゃないもん!性格だもんっ」

「まっ、そうでしょうね~!あんたは昔から顔より性格だものねぇ」

「もちろん!」


…あのー、俺って空気じゃね?


「えーっと、すみません。話しているところ悪いんですが、自己紹介させてもらってもよろしいでしょうか?」

「あ、えぇ、どうぞ。ごめんなさいねぇ」


あぁ、緊張するっ!


「田邊 慶起です。年は21の大学4年。職業はプロのバスケットボールプレイヤーです。1年半くらい前から...え、笑美さんとお付き合いさせてもらっています。ご挨拶が遅れてしまい申し訳ありません。」


言い終わって頭を下げると、上から優しい声がかかる。


「えぇ、お話は笑美から聞いているわ。立ち話はなんだし、上がってちょうだいっ?」


靴を広すぎる玄関の隅に並べてお家に上がると、リビングに通された。


< 48 / 76 >

この作品をシェア

pagetop