【完】小さなしあわせ、重ねよう。
「あのー、お義父さんは?」
「え、いないよ?言ってなかったっけ?」
「えっ!?」
……初耳なんですけど。
「あら、あんた言ってなかったの?」
「あはっ、忘れてた~」
「もぅ、そういうところはあの人にそっくりなんだから」
…へぇ、畑辺も片親だったのかぁ...。
「私が小さい頃、離婚したの。だからあんまりお父さんのこと覚えてないの」
「それからは笑美とふたり、二人三脚で生活してきたわ。家事もふたり一緒にしたの。だからこの子家事上手でしょう?」
「はい。料理とかすっごく美味いです。」
「あらまぁ、笑美は田邊くんの胃袋まで掴んじゃったのねーぇっ!やるぅっ♪」
そっか、そうだったんだ。
家事が上手いのはそういうことだったのか。
この時間で少し知れた、畑辺のこと。
もっと知ってもっと畑辺のことを分かってあげたい。
…そう、切に思った...