【完】小さなしあわせ、重ねよう。


「このネコちゃんたち飼っていい...?」


やっぱり……。


「あのね、確かにあのマンションはペットOkだよ?でもね、ちゃんと育てられるの?半端な気持ちで持って帰られたってネコたちも迷惑なだけだよ?」

「…お母さんみたい」


目を丸くした畑辺はそう言った。


「でも、本当のことだからね」


最期まで育てようという気持ちが無ければ動物を飼ってはいけない。

じゃなきゃ動物も迷惑だ。

どうにもしようがないからそこらへんに置いていこうなんていうのは、余りにも無責任で自分勝手な人間だけの都合だ。


「大丈夫だよ。私はそんな無責任なことしないよ。それにお世話は全部私がするから。いいでしょっ?」

「うん。わかった」


訴えるような真剣な目をされたら許さないわけにはいかない。

というより、それだけの思いが在れば大丈夫だと、そう単純に感じたから。


< 57 / 76 >

この作品をシェア

pagetop