【完】小さなしあわせ、重ねよう。


……只今の時間18時07分。

買い物のためにネコを家に置いて出たのは14時頃だった。


あれから、かれこれ4時間程。

未だ家には帰れていない。


……というのも、なかなかいいエサと寝床が見つからないらしい。

母ネコが一体何歳なのか分からず、10歳より若いのかシニアなのか。

どのぐらいの大きさのネコ用ベッドなら、あの3匹が寝れるのか。



「…うーん」


「畑辺、まだ?」



はっきり言って、俺は横でカゴを持って突っ立ってるだけだ。

俺は、エサはどちらとも買えばいいと思うし、ベッドは直径30センチくらいの黄色いのでいいと思うけれど、畑辺は首を縦に振らない。


エサを二つ買うのは無駄遣いだと。

じゃあベッドは…?

と思ったけど、口にはしなかった。


……そして、更に40分後。

やっと、家に帰り着いた。

結局、ベッドは俺が決めたの、
エサは二つとも買った。


「ただいま~」



玄関のドアを開けるとネコ3匹がちょこんと座っていた。



「ふふっ。お出迎えありがとうっ」



そう言って畑辺は屈み、ネコたちに笑顔を向けた。

その姿は余りにも無邪気で可愛かった。


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