【完】小さなしあわせ、重ねよう。
「うわぁ、シーちゃんダメでしょう!こんなところでっ」
今日も畑辺はシーのしつけに手を焼いている。
『シー』は母ネコの名前だ。
ちなみに子ネコ2匹は、茶色系のブチ模様の方が『ゴマ』、オレンジ色の方が『きなこ』らしい。
元々野良猫なものだからやりたい放題しでかしてくれる。。
ゴマはメスで、きなこはオスらしい。
俺は動物は可愛いし好きだけど、一緒に暮らしたことがないから余りよくわからない。
だからまぁ、畑辺に任せてはいる。
だけど・・・・・・。
「・・・なんで俺は放ったらかしなの?」
「え?・・・もう、猫ちゃんに嫉妬しないで?ね?」
・・・・・・気にくわない。
なんでネコばっかりなんだ。
「えぇっ⁉ちょっ...どうしたのっ⁈」
後ろから思いっきり抱き付いて、そのまま引きずってソファーへ。
徐に、顔をぐいっと近付けてみる。
「な、なにっ?怒ってる?」
「さぁ?・・・試してみる?」
近付けた顔を更に近づけて、唇と唇の距離、
0センチ。
「ちょっ...んんっ」
弄ぶように深くしたり浅くしたり。
やっぱりこうでなくちゃね。
さすがにネコばっかり構ってたら俺だって嫉妬する。
「やっぱり怒って...んっ」
「だったらどうする?」
「どうって言われ・・・」
『ニャーオンッ』
・・・シーが割り込んできた。
・・・・・・はぁ。
シー、KY決定。
「・・・もう、知らない」
「え、田邉くんっ⁉」
・・・完全にヤル気奪われた。
不完全燃焼なまま複雑な感情を抱え、ソファーにうなだれた。