【完】小さなしあわせ、重ねよう。


「…まぁ、毎日が幸せっすね」

「のろけてんなぁ、おい」

「嘘は吐けない質なんで」


上原さんと話すのは楽しい。

上下関係を気にせずに普段通り話せる。


「ぷっ、なんだそりゃ。つか、なんていうの、彼女の名前」

「畑辺っす」

「いや、下のだよ」

「え...あぁ...え、笑美です」


普段そうやって呼ばないから、
噛んでしまった。


「あははっ、慣れてないの丸分かりっ」

「…まぁ、そうっすね」


盛大に笑われると、
さすがに恥ずかしい。

一年半たって、彼女を名字でしか呼ばないのも変な話だけれども。


「じゃあさ、」

「はい」

「今日から呼んでみなよ、笑美って」

「…はぁ、まぁ、ガンバってみます」

「おし!…みんな、休憩終了っ!」


練習再開すっぞ、と声を張り上げて上原さんはコート内に入っていった。

その言葉に続いてチームメートも入っていく。

そして、それに続いて俺も入っていった。


数時間後、
俺が汗だくで帰ったのは言うまでもない...。


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