【完】小さなしあわせ、重ねよう。


「うーん...なら、いいか」

「うんうん。それより、奈々はいいお母さんになれそうだね!楽しみだなぁっ」

「まだ気が早いよぉ!予定は今年の夏だし」


藤沢...いや、奈々さんの腹の中には修也との子供がいる。

まだ1ヶ月らしいから、腹の膨らみがないく、妊婦には見えない。

二人は前々から挙式を考えていたがなかなか踏み出せずにいて、丁度最近子供が出来たのが分かって踏み切ったらしい。

いわゆる、"デキ婚"だ。

昨日会った時に、週2ヤるからだろと言ったら、いや週3だ、と誇らしげに言われた。


「二人とも、どっちも含めておめでとう」

「おう!」

「ありがとう」

「お前も早く結婚しろよー!」

「まあ、頑張る」


…とは言えど、未だプロポーズしてない。

はぁ...。


「あ、そういやバスケの活躍すげーな!やっぱお前はかっこいいよ」

「そりゃ、どうも。」


俺は大学卒業後はバスケの日本代表として本格的に活動を始め、数多くの試合に出ている。

だけど、バスケじゃ食っていけないから、かの有名な自動車会社の営業部で働いている。

収入は結構いい。
えみの遣り繰りがいいこともあって、金には困っていない。

世界大会に出ることが多くなったために、家にいることが少なくなってしまってえみには寂しい思いをさせている。



< 72 / 76 >

この作品をシェア

pagetop