君と僕
君はしばらく俯いたあと

口を開いた



「朽ちるから…」



『え?』


「…物はいつか朽ちる

人はそれより早く朽ちるわ

でもね、人の心は

もっと もっと早く

朽ち果てるものなの。」



『…朽ちてなくなると離れていくから怖いの?』


「さぁ…わかんない」


『僕も、いずれ…この身は朽ちるんだよ?』


「そうね。」


『君は、その時が来ても大丈夫?心配なんだ。』


「その時は、私も一緒に朽ちるから大丈夫。」


『駄目だよ』


「あら?どうして?」


『とにかく駄目』


「なんで…?

私は、あなたが居なかったら とっくの昔に自ら朽ちてるわ?

あなたが居ない世界に生きている必要はないもの。」



そう言った君は、

すごく優しい眼をしていた。


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