煙草とあなたと幻と


がちゃん、とわざとらしく音をたててドアノブを回す。手応えからして鍵をかけていない。今度は静かにドアを開け中に入ってみる。美空と煙草の匂いが充満していて、陽司はくらくらした。胸いっぱいに吸い込んで、そのくらくらをわざと楽しんでみる。
あぁ、この匂い。俺はめっぽう弱い。

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