煙草とあなたと幻と


キッチンを抜けて部屋へ足を進める。
十畳ほどのワンルームのいちばん奥。陽のあたる出窓に隣接するように、ベッドがひとつ置いてある。薄手のタオルケットに抱かれて、美空はすやすやと寝息をたてていた。

彼氏が来ているのに、まったく気づかず寝てんのかよ!
声を出したくなったが、陽司はこらえた。美空は疲れているだろうから。
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