初恋さくらんぼ
「あっ!ごめん美香!忘れ物!」
「もー、仕方ないんだから。取ってきな」
教室に、ペンケースを忘れた私は、全力で取りに行った。
別にそこまで急ぐ必要はないけど、
なんだか急ぎたくて。
私のクラスは玄関から遠い。
途中でスクバを肩からおろした。
「あったー!」
といって廊下へ出る。
来た道を、今度は疲れたので歩いて戻った。
不格好に投げ捨ててある私のスクバに肩を通し、
また歩く。
すると、後ろから聞き慣れた声がした。
「はるか、ちゃん…?」
それは、私の探していた声。
ずっと、聞きたかった声。
私はゆっくりと振り返る。
「遥希くん!」
その声の主は、まさに遥希くんだった。
「ずっと会いたかった…!」
「私に?」
遥希くんが、そんなことを私に言うなんて。
「そうだよ。君に。」
「私も…!」
「はい。大変お待たせ致しました。
チェリーティーでございます。」
そういって、彼ははにかみながら私の落としたさくらんぼのキーホルダーをくれた。
「サービスで僕が付いてきますが、よろしいでしょうか?」
これって…
期待しても、いいのかな?
「喜んで///」
「あの、私…
あの日からずっと、ずっとずっと!」
「俺もだよ。
好き。遥ちゃん。好きだよ、」
そう言って遥希くんは私を優しく抱き締めた。
「私も…!」