初恋さくらんぼ
私はそれから、毎日このカフェに行っている。
あの人に…会うために。
そして今日も。
「いらっしゃいませ、今日は何にします?」
優しい笑顔。
「おまかせします。」
この人が何を持ってくるのか、知りたかった。
「これ、甘酸っぱくて、僕いつも飲むんです。」
持ってきたのは、チェリーティー。
「ありがとうございます」
そういって、白いティーカップに口をつけた。
「おいしい」
私の口からふとでた言葉に、
店員さんは満面の笑顔で言った。
「ですよね!わかってくれる人がなかなかいなくて…」
「名前、なんていうんですか?」
「え?」
私ではなく、彼が聞いてくるなんて。
私は戸惑いを隠せなかった。
「あなたの、名前」
「はっ、遥です。
あなたは?」
「遥希。」
なんだか、あなたに近づけたような気がした。
遥希。
私と似てるなあ、なんて。
些細なことでも、嬉しい。
あなたに、恋をしてるから。