もう一度…。
「どした?ゆり、なんか変だよ。」


そう言って笑いながら、わたしの腕をつっついてくる。


「ん??いや、何にもない何にもない!」


ややこしいことになる前に、なんとかこの場を離れなきゃと思いながら
都の背中を押し、不機嫌そうな彼に会釈する。


「近藤君がさぁ、場所変えて飲もうかって。ゆり、まだまだ飲めるでしょ?
へへへ、今日はこのままオールしちゃう??」

お酒もはいって、都はいつも以上にハイテンションだ。
にこにこ笑いながら、彼にも話しかける。

「あ、よかったら矢島さんも一緒にどうですか??」

あまりのタイミングの悪さに、泣きたくなる。
顔をひきつらせながら振り向くと
案の定もっと不機嫌そうな顔で彼がこっちを見ていた。


「え? ん?? わたし何か悪いこと言った??」


状況がつかめない都はわたしと矢島湊の顔を行ったり来たりしている。


「たまの事だからって思ってんのかもしれませんけど、
こんなに遅くまで飲み歩く必要ありますか?」

「まだお子さん、小学生なんですよね。
お父さんが見てくれてるのか知りませんが、
子供にとって一番はやっぱ母親なんじゃないんすか。」


矢継ぎ早に言葉を投げかけられわたしが困っていると
横で都がプルプルと震えてる。
やばいと思った瞬間にはもう遅かった。

< 21 / 36 >

この作品をシェア

pagetop