もう一度…。
できるだけ明るい声で「おやすみ」を言い、わたしは電話を切った。


『どうしても寂しくなったら、夜中でもいいから電話するんだよ!』


美緒の言葉を思い出し、少し笑う。


「どっちが母親なんだか、、、。」


小さくつぶやきながら、待ち受け画面に映る美緒をそっとなでた。


「それ、娘さんですか?」


突然の声に思わずスマートフォンを落としそうになる。

顔をあげるとそこには矢島湊が立っていた。


「あ、はい…。」

「似てますね。」


そういいながらわたしの横に腰掛ける。


「で…ですかね。なんかあれなんですよね、しゃべり方とかも似てきちゃって。
怒ってるときとか自分とケンカしてるみたいで。…ははっ…」


店のBGMの中にわたしの小さな笑い声だけが響き

何とも言えない気まずい空気が流れる。

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