もう一度…。
自宅に戻り、美緒を納得させるという1番大変なミッションを終えたわたしは
やっと一息つくことができた。

内容が内容だけに、美緒にすべてを正直に話すのは難しい。
矢島湊の不注意で失礼なことをしてしまったから、そのお詫びらしいよ。
と、もっともらしい理由を考えて、うまく取り繕ったつもりだけど
ホントのところ、美緒がどう感じているかはわからない。

「そんなことがあったのに黙ってたのはちょっと腹が立つけど…。
美味しいお菓子もらえたし、まーいっか。」

そう言いながら、焼き菓子をほおばる顔はやっぱりまだまだ10歳の子供だ。

幸せそうな美緒を見ながら、わたしもお菓子を口に運んだ。
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