初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。
「えっ…覚えててくれたんですか!?」
「当たり前でしょ、可愛い後輩の誕生日なんだから」
なんて優しく微笑む伊織先輩に、感動してしまう。
「嬉しいです、ありがとうございます!」
「家で開けてみて。
崩れやすいから、あんまり振らないようにね」
じゃ、と手を振る伊織先輩に、もう一度お礼を言う。
……あっ、南雲くんのこと待たせちゃった!
申し訳ない……!と思って慌てて少し前にいる南雲くんに駆け寄ると。
「……誕生日、だったの?」
「え、あ、うん……」
これは……どうしよう、気を遣わせちゃった!
南雲くんの表情は、メガネで隠れて見えない。
「あの、気にしなくて全然大丈夫なので!」
慌てて首を振ったけれど、南雲くんはやっぱりどこか不機嫌な気がして。