初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。
08.名前でなんて、呼べない
「北山さん」
教室に入った瞬間、呼ばれた名前に驚いて顔を上げれば、南雲くんがいた。
「南雲くん、おは……」
「今日の放課後、暇だよね」
おはよう、と言おうとした声がかき消された。
暇だよねって、どうして決めつけられてるんだろう……。
この前から私、南雲くんに暇人だと思われてるよね……?
「暇じゃないの?」
何も答えない私に、少し不安げな顔をするから。
「暇です……!」
慌てて頷いた。