初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。
09.やっぱり、いくじなし
「おはよう、夕陽」
次の日。
教室に入ると、声をかけてくれた南雲くんに、クラスがざわっと騒がしくなる。
「え、今、名前で呼んだ…?」
「マジか!あの2人、本当に付き合ってるんだ…」
なんて声がしっかり聞こえて、私も「夕陽」って呼び方がくすぐったくて、恥ずかしくて。
「お、おはよう…」
どんどん語尾が小さくなって、そのまま俯いてしまった。
だめだ、まだ私には「絢星くん」なんて呼べない。