初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。
「…怖いくせに、お人好し」
南雲くんは、全部気付いてたみたいだ。
びっくりするくらい、優しい顔で笑わないで。
胸がぎゅーって締め付けて、どうしたらいいか分からないから。
「…乃愛ちゃんには、幸せになって欲しいの。
ずっと片想いしてたの、見てたから…」
「うまく行くといいね」
「うん!」
隣を見れば、ぶつかる視線。
触れ合う腕から、じんわりと伝わるのお互いの体温。
吐息すら聞こえるんじゃないかってくらいの近さで、呼吸すらうまくできないよ。
「…ねえ、」
「は、いっ」
「…いつになったら、名前で呼んでくれるの」
「っ、え」
思いがけない言葉に、隣を見上げる。