初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。
「もっとスムーズに」
「あ、絢星くん…っ」
ーーーーー瞬間。
ふわり、と重なった唇。
急速に、今までとは比べ物にならないくらい近づいた距離。
何が起きてるのか理解できなくて、頭が真っ白になって。
ドキドキなんか通り越して、クラクラして。
ゆっくりと離れた唇と、照れくさそうに目をそらす南雲くん。
お互いに何も言えなくて、ふたりして前を向いた。
それでもまだ繋がれたままの右手とか。
触れる腕とか。
まだ唇に残った、南雲くんの温かさとか。
怖いのなんてすっかり忘れて、夜景は今まで見た中でいちばんキラキラしてて。
「…次から、名前で呼ばないと返事しないから」
「えぇっ!?」
悲しくもないのに泣きそうになったのは、きっと幸せすぎたからだ。