初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。
「あれ、絢星、トマトたべれるようになったの?」
お昼休み。
絢星くんに作ってきたお弁当を覗き込んで、冬花さんが聞いた。
友達のところに行こうとしていた私も、足を止める。
「トマト、いつも私がたべてあげてたくらい嫌いだったのに?」
「え、」
そう、なの?
トマト、嫌いなの?
「…もう食えるよ」
「嘘、最後まで残してるじゃん。
絢星、いつも嫌いなもの最後に食べるから」
その言葉に、カァッと顔が熱くなった。
知らない、知らなかった。
私、結構プチトマト入れてた。
彩りが綺麗になるから、毎日入れてた。
私より、冬花さんの方が絢星くんのこと知ってる。
それは仕方ないけど、仕方ないんだけど。
「ご、ごめん!食べなくていいから!」
最後のひとくち。
プチトマトだけ残ったお弁当箱を、絢星くんから取り上げる。