初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。
「…先生。
北山さん具合悪そうなので、保健室連れて行きます」
がたん、と立ち上がって、私の腕を掴む絢星くん。
「おお、大丈夫か北山?」
「は、はい…」
手を引かれながら廊下に出れば、沈黙。
そのまま歩く先は、保健室じゃなくて。
腕からじんわりと伝わる絢星くんの体温に、緩んだ涙腺からは涙が溢れそうで。
「…私、具合悪くないよ…?」
「うん」
うん、って。
「保健室、こっちじゃないよ…?」
「うん」
だから、うん、って。
何なの、意味分かんないよ。
階段を上って、たどり着いたのは屋上。
…の、ドアの前。
屋上は立ち入り禁止だから、この屋上の前のスペースはほとんど人が来ない。