初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。




「…先生。

北山さん具合悪そうなので、保健室連れて行きます」




がたん、と立ち上がって、私の腕を掴む絢星くん。



「おお、大丈夫か北山?」

「は、はい…」



手を引かれながら廊下に出れば、沈黙。


そのまま歩く先は、保健室じゃなくて。



腕からじんわりと伝わる絢星くんの体温に、緩んだ涙腺からは涙が溢れそうで。





「…私、具合悪くないよ…?」


「うん」



うん、って。



「保健室、こっちじゃないよ…?」

「うん」



だから、うん、って。
何なの、意味分かんないよ。



階段を上って、たどり着いたのは屋上。

…の、ドアの前。



屋上は立ち入り禁止だから、この屋上の前のスペースはほとんど人が来ない。


< 160 / 247 >

この作品をシェア

pagetop