初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。
「私ね、中学生の時、絢星と付き合ってたの」
「聞き、ました」
「すごく好きで、ずっと好きで、やっと付き合えた時は嬉しくて眠れなかった」
ぽつりぽつりと話し始めた冬花さんに、私は黙って話を聞く。
「いっぱいデートもしたし、その度に好きになった。
…でもね、親の転勤でアメリカに行くことになったの」
アメリカ…。
転校したとは聞いていたけど、海外とは知らなかった。
「さすがに中学生の遠距離恋愛で海外は無理だなって思ってね、私から別れちゃったの。
自然消滅とか、モメて別れるよりも、潔く円満に別れようと思って」
最後の記憶が怒ってるところなんて、嫌でしょ?って続ける冬花さんに、確かに、と頷いた。