初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。



「私、今でも絢星が好き」





「っ…」



「彼女がいても、諦められない。



…呼び出してごめんね、それだけ言いたかっただけだから」






それだけ言って、2人ぶんのお金を置いて出て言ってしまった冬花さん。



「お金…」


「私が無理やり連れてきたんだもん。
奢らせて」


「あ、りがとうございます…」





残されたカフェで、ため息をつく。





「…何も、言えなかった」





私だって諦めたくない。

譲れない。



それが言えなかったのは、絢星くんにちゃんと好かれてる自信がないから。


曖昧にしていたところを、指摘されてしまったからだ。






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