初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。
「今日は彼氏一緒じゃないの?」
「あ…用があるからって…」
「そうなんだ」
伊織先輩は、大人っぽくなった気がする。
年上だから、かもしれないけど、伊織先輩の落ち着いた雰囲気のせいだと思う。
「夕陽ちゃんがあんなにモテる人と付き合うの、意外だったなぁ」
「私もそう思います」
「あーあ、長期戦で行こうと思ってたのに…」
「え?」
伊織先輩の言葉の意味がわからなくて聞き返したけれど、なんでもない、とはぐらかされてしまった。
2人きりの保健室。
私はサラサラとノートにペンを走らせる。
…絢星くんといる時より、落ち着いてる。
それはあんまり緊張してないからで。
伊織先輩が優しいから、大好きな先輩だから。
それと同時に、絢星くんといると落ち着かないのは、絢星くんといるとドキドキするからだ。
なんて、こんなときに実感してしまった。