初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。
「夕陽ちゃんのこと、本当に好きなの?
面倒臭くて適当に答えた好きな人なんじゃないの?」
自分の名前が聞こえたことに驚いて、話の内容から、中にいるのが絢星くんと冬花さんだと分かった。
きゅっとスカートの裾を握る手に力が入る。
聞きたくない。
…でも、聞きたい。
ううん、聞きたくない…。
「仮にそうだとして、冬花に関係ある?」
冷たい声に、俯く。
「あるよ……絢星のこと好きだもん…」
冬花さんの震える声に、胸が痛んだ。
…もう、だめだ。
きっと、だめだ。
否定しなかった絢星くん。
きっと泣きそうな冬花さん。
このまま絢星くんの隣にいるの、苦しい…。