初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。
「いつから好きだったわけ?」
まだ続いているその会話から耳に入った言葉に、私の動きも止まる。
だから、違うのに。
好きなんかじゃないんだよ。
わかってるよ。
わかってるから、言わないで…。
「席つけー、授業始めるぞ」
授業開始のチャイムとともに教室に入ってきた先生のおかげで、その答えは聞かずに済んだ。
バタバタと自分たちの席に戻っていくみんなを見ながら、心のモヤモヤは晴れなくて。
やっぱり、付き合わなければよかったかな。
どうしてあそこで頷いちゃったんだろう。
南雲くんが適当に好きな人を指したなら、付き合うなんて迷惑だったんじゃない?
そうだよね、普通に考えてそうだよね!?
まさか付き合うことになるとは思わずに私を選んでたなら。
ただ隣の席だっただけの私の彼氏になるなんて、すごく迷惑なはずだ。
ああもう、何してるの私。
だけどあの時は、南雲くんの瞳から目が離せなくて、考えるよりも先に、首は縦に動いてて。
ああ、私
あの一瞬で、恋に落ちちゃったのかもしれない。